人材開発支援助成金の用語集です。OFF-JT、計画届、定額制訓練、経費助成と賃金助成、疎明書、経過措置など、研修を検討するときに出てくる言葉を、厚生労働省の令和8年度の資料に書かれている内容に基づいて説明します。OJTのように資料に定義の記載がない一般的な言葉には、その旨を添えています。
訓練の種類を表す言葉|OFF-JT・人材育成訓練・定額制訓練
OFF-JT:企業の事業活動と区別して行われる訓練です。事業展開等リスキリング支援コースと、人材育成支援コースの人材育成訓練は、10時間以上のOFF-JTであることが条件です。
OJT:職場での実務を通して学ぶ訓練を指す一般的な言葉です(資料に定義の記載はありません)。資料では、OFF-JTと組み合わせる訓練として登場します。人材育成支援コースには、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練(認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練)があり、人への投資促進コースにも、OJTとOFF-JTを組み合わせる情報技術分野認定実習併用職業訓練があります。
人材育成訓練:人材育成支援コースの訓練の1つで、10時間以上のOFF-JTによる訓練です。経費助成率は、正規雇用労働者等の通常分で中小企業45%・大企業30%です(令和8年4月8日版)。
認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練:人材育成支援コースの、OJTとOFF-JTを組み合わせた3つの訓練です。認定実習併用職業訓練は新卒者等のため、有期実習型訓練は有期契約労働者等の正社員転換等を目的とし、中高年齢者実習型訓練は45歳以上の労働者を対象とします。有期実習型訓練は、支給申請日までに正社員転換が必要です。転換が実施されなかった場合でも、資料に示された要件を満たせば、人材育成訓練の助成内容により助成対象となる場合があります。
定額制訓練:従業員がサブスクリプション型の研修サービスを利用した場合の訓練を対象とするメニューで、人への投資促進コースにあります。支給申請時に、修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の者が対象です(令和8年4月8日の改正)。経費助成率は中小企業60%・大企業45%(賃金要件・資格等手当要件を満たした場合は+15%)で、賃金助成はありません。事業展開等リスキリング支援コースにも、定額制サービスによる訓練があります。詳しくは定額制研修と助成金で解説しています。
自発的職業能力開発訓練:労働者が自発的に受講した訓練の費用を、事業主が負担した訓練です。人への投資促進コースのメニューで、経費助成率は45%(賃金要件・資格等手当要件を満たした場合は+15%)、賃金助成はありません。
高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練:DX推進や成長分野などでのイノベーションを推進する高度人材を育成する訓練で、人への投資促進コースのメニューです。資料の表では、ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3・4となる訓練等と大学での訓練が高度デジタル人材訓練、大学院での訓練(国内・海外)が成長分野等人材訓練として示されています。対象の範囲は、資料と管轄の労働局で確認してください。IT分野の場面別の比較はプログラミング・IT研修と助成金にあります。
情報技術分野認定実習併用職業訓練:IT分野未経験者の即戦力化のための訓練で、人への投資促進コースのメニューです。OFF-JTとOJTを組み合わせます。
長期教育訓練休暇等制度:働きながら訓練を受講するための休暇制度等を導入した場合のメニューで、人への投資促進コースにあります。経費助成額は企業規模を問わず20万円(賃金要件・資格等手当要件を満たした場合は+4万円)の定額で、1事業主1回までです。有給の長期休暇には賃金助成があり、資料の表では1人1時間あたり中小企業1,000円・大企業800円(大企業は要件を満たす場合+200円)で、人数の制限はありません。賃金助成の限度は、中小企業1,600時間・大企業1,200時間です。
助成額を表す言葉|経費助成・賃金助成・助成率・設備投資加算
経費助成:訓練にかかった経費に対する助成です。助成率は、コース・訓練の種類・企業規模で決まっています。
賃金助成:訓練期間中の賃金に対する助成で、1人1時間あたりの額で示されます。事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外です。
助成率と助成限度額:助成率は経費に対する助成の割合、助成限度額は受け取れる額の上限です。限度額は、コースや訓練の時間数などで変わります。たとえば事業展開等リスキリング支援コースの通常分は、経費助成率が中小企業75%・大企業60%で、これとは別に、賃金助成が1人1時間あたり中小企業1,000円・大企業500円です。限度額に達した金額が必ず支給されるという意味ではありません。比較は中小企業と大企業の助成率の違いにまとめています。
設備投資加算:事業展開等リスキリング支援コースで、賃金要件または資格等手当要件のいずれかを満たし、事業所に事業展開促進機器等を導入した場合に、通常分の支給申請とは別に申請できる加算です。資料の表では、助成率は中小企業が50%(1コースの一の導入費用あたり)、大企業は「-」とされています。
手続きを表す言葉|計画届・支給申請・疎明書・経過措置
職業訓練実施計画届(計画届):実施する訓練の計画を、管轄の労働局へ提出する書類です。訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出します。定額制訓練の計画届は、原則として定額制サービスの契約期間の初日を起点にします。提出時期は計画届はいつ出すかに早見表があります。
事業展開等実施計画:事業展開等リスキリング支援コースで、事業展開などの内容を記載する書類(様式第1-3号)です。職業訓練実施計画届と併せて提出します。
支給申請:訓練を実施した後に、助成金を申請する手続きです。本サイトで扱う3つのコースでは、訓練終了日の翌日から2か月以内に、必要書類を管轄の労働局へ提出します。申請までに、訓練にかかった経費の全額を支払う必要があります。ただし、人への投資促進コースの長期教育訓練休暇等制度は、申請手続きや提出書類が一部異なります。教育訓練休暇等付与コースなど、他のコースにも別の定めがあります。
受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号):令和8年5月14日の支給要領の改正により、令和8年5月14日時点で支給申請が行われていないもの、または支給申請が行われていても支給決定・不支給決定がされていないものについて、提出が必要になった書類です。
職業能力開発推進者・事業内職業能力開発計画:助成金の手続きの最初(Step0)で、職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して自社の労働者に周知します。この計画に基づいて、職業訓練実施計画を作成します。
認定経営革新等支援機関:事業展開等リスキリング支援コースで、企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき今後従事する予定の職務の訓練(資料の区分「ⅲ」)を行う場合に、その計画の確認を受ける先です。
経過措置:令和8年8月3日の改正のあとも、条件に当てはまる場合は従前の支給要領が適用される取扱いです。事業展開等リスキリング支援コースについては、支給要領の1402に定めがあります。適用関係は、最新の支給要領と管轄の労働局で確認してください。
雇用関係助成金ポータルとGビズID:電子申請を行う窓口が雇用関係助成金ポータルで、申請には「GビズID」の申請・取得が必要と資料に示されています。
制度の枠組みを表す言葉|コース・雇用保険・企業規模
コース:人材開発支援助成金は、訓練の目的ごとにコースが分かれています。本サイトでは、事業展開等リスキリング支援コース、人への投資促進コース、人材育成支援コースを解説しています。全体像は人材開発支援助成金とはにあります。
雇用保険適用事業所・雇用保険被保険者:事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースでは、支給対象者として、事業主は雇用保険適用事業所の事業主、労働者は雇用保険被保険者と資料に示されています。
中小企業・大企業:助成率や助成限度額は、企業規模で分かれています。中小企業と大企業の定義は資料に載っていないため、自社がどちらに当たるかは管轄の労働局に確認してください。
用語から解説記事へ|知りたい言葉別の読み先
- 訓練の種類で迷うとき:生成AI研修と助成金、DX研修は助成金の対象か、eラーニング研修と助成金
- 対象かどうかを確かめるとき:対象になる研修・ならない研修のチェックリスト、対象外になる訓練と経費
- 進め方を知りたいとき:助成金を使った研修の進め方、助成金に対応した研修会社の選び方
研修の内容と時間数は講座一覧で確認できます。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務のため、ilandoでは行いません。助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。
よくある質問
OFF-JTとOJTの違いは何ですか。
OFF-JTは、企業の事業活動と区別して行われる訓練です。OJTは、職場での実務を通して学ぶ訓練を指す一般的な言葉で、資料に定義の記載はありません。人材育成支援コースと人への投資促進コースには、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練があります。人材育成支援コースの人材育成訓練は、10時間以上のOFF-JTによる訓練です。
計画届と支給申請は、何が違いますか。
計画届は、訓練を始める前に提出する書類で、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に出します。支給申請は、訓練を終えた後の手続きで、本サイトで扱う3つのコースでは、訓練終了日の翌日から2か月以内に行います(人への投資促進コースの長期教育訓練休暇等制度は、申請手続きが一部異なります)。
経費助成と賃金助成は、両方受けられますか。
コースと訓練の種類で異なります。たとえば事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外です。各コースの資料で確認してください。
定額制訓練と自発的職業能力開発訓練は、どう違いますか。
どちらも人への投資促進コースのメニューです。定額制訓練は、サブスクリプション型の研修サービスを利用した訓練を対象とし、支給申請時に標準学習時間が10時間以上の者が対象です。自発的職業能力開発訓練は、労働者が自発的に受講した訓練の費用を事業主が負担した訓練です。助成率や受講回数などの条件は別に定められています。
中小企業か大企業かは、どのように決まりますか。
資料には定義が載っていません。助成率や限度額が企業規模で分かれているため、自社の区分は管轄の都道府県労働局に確認してください。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」(令和8年4月8日版)
- 厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」(令和8年4月8日版)
- 厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」(令和8年4月8日版)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース 支給要領」(令和8年8月3日適用)1401・1402
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)