助成金の対象になるかは、研修内容だけでなく、事業所・受講者・実施方法・経費で確認します。人材開発支援助成金の条件はコースごとに異なるため、次のチェック表で確認事項を整理してください。すべて「はい」でも受給が確定するわけではなく、管轄の都道府県労働局が判断します。
助成金の基本条件|雇用保険・10時間以上・OFF-JTを確認
事業展開等リスキリング支援コースと、人材育成支援コースの人材育成訓練を確認する表です。OFF-JTとは、企業の事業活動と区別して行う訓練を指します。実際の業務を行う時間と、知識や技能を学ぶ時間を区別して整理します。
| 確認する質問 | はいの場合 | いいえの場合 |
|---|---|---|
| 事業所は雇用保険適用事業所ですか | 両コースの事業主要件を引き続き確認 | 両コースの対象事業主の条件を満たすか労働局に確認 |
| 受講者は雇用保険被保険者ですか | 両コースの対象労働者の条件を確認 | 両コースの対象労働者の条件を満たすか確認 |
| 受講者の職務に関連する知識・技能を学びますか | 担当業務とカリキュラムの関係を整理 | 研修名だけで対象と判断せず内容を確認 |
| 訓練は10時間以上のOFF-JTですか | 両コースの該当訓練の時間・方法の条件を確認 | 事業展開等リスキリング支援コース・人材育成支援コースの人材育成訓練の条件を再確認 |
- 事業展開等リスキリング支援コースでは、事業展開やDX化・GX化など、コース所定の目的にも該当するか確認します。
- 人材育成支援コースでは、人材育成訓練と実習併用の訓練を区別して確認します。
- 人への投資促進コースは、定額制訓練など、利用する訓練メニューごとに条件を確認します。
チェック項目に出てくる言葉の意味は、人材開発支援助成金の用語集で確認できます。
DX・生成AI研修が対象外にならないかを確認
事業展開等リスキリング支援コースのDX化・GX化に関する訓練は、目的と受講者の職務が判断材料です。DXはデジタル技術による業務等の変革、GXは脱炭素に向けた取り組みです。令和8年8月3日改正では、間接的な知識や職業人共通の知識にとどまる訓練が対象外とされています。
- 特定の職務に直接必要な知識・技能ですか。はいなら、どの作業に使うかを説明できるカリキュラムか確認します。
- マナーや幅広い仕事に共通する基礎知識、概念の理解だけですか。はいなら、以下の対象外例と照合します。
- 学ぶ内容に沿って受講者を選んでいますか。いいえなら、担当業務との関係を確認します。
| 訓練内容と受講者 | 改正資料の区分 |
|---|---|
| 営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ | 対象の例 |
| 生成AIを使うための汎用的なプロンプト(AIへの指示)の作り方を学ぶ | 対象外の例 |
| DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ | 対象外の例 |
| 脱炭素の基本理念、国際情勢、GX化を進める上で企業に必要な対応を学ぶ | 対象外の例 |
| CO2排出量算定ルールに基づく計算手順を算定業務担当者が学ぶ | 対象の例 |
| 同じCO2排出量算定の計算手順を人事・営業の担当者が学ぶ | 対象外の例 |
職務への直結を説明できる内容かを確認するときは、生成AI・業務自動化の講座に掲載している、担当職務ごとのカリキュラムも参考にしてください。
DX研修を詳しく確認したいときは、DX研修は助成金の対象かを参照してください。
対象外経費のチェック|密接な関係にある者との取引
全コースで、申請事業主と密接な関係にある者との訓練実施に係る経費は、経費助成の対象外です。研修自体の内容が職務に関連していても、支払先との関係を別に確認します。次の質問に「はい」がある場合は、対象外経費の例に該当します。
- 部外講師は、申請事業主の代表者等の配偶者や3親等以内の親族ですか。該当する講師謝金は対象外の例です。
- 施設・設備の借上先は、申請事業主の親会社や子会社ですか。該当する借上費は対象外の例です。
- 教育訓練機関の代表者等は、申請事業主の代表者等や雇用する者ですか。該当する受講料・入学料等は対象外の例です。
eラーニングの賃金助成・受講回数を確認
経費助成は訓練費用の一部、賃金助成は訓練期間中の賃金の一部に対する助成です。両方を受けられるとは限りません。受講方法と、その労働者が利用した訓練の回数を分けて確認します。
| コース・訓練 | はい/いいえで確認する質問 |
|---|---|
| 事業展開等リスキリング支援コース | eラーニング・通信制・定額制サービスは経費助成のみとして計画していますか |
| 人材育成支援コース | eラーニング・通信制は賃金助成の対象外として計画していますか |
| 人への投資促進コース・定額制訓練 | 賃金助成がないことを確認しましたか |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 同一労働者について年度3回まで、うちeラーニングは年度1回までの範囲ですか |
| 人材育成支援コース | 労働者1人につき年度3回までの範囲ですか。有期実習型訓練は同一事業主・同一労働者で1回までですか |
| 人への投資促進コース・定額制訓練 | 年度3回までと、定額制サービスのコースをまたぐ通算上限を確認しましたか |
申請前の書類チェック|計画届と疎明書
研修の対象確認と並行して、計画と支払いを確認できる書類を整えます。疎明書とは、受講料等の価格設定について説明する書類です。計画届を提出した時期だけで、提出不要とは判断できません。
- 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者へ周知しましたか。
- 各コースの計画届、対象労働者一覧、訓練内容を確認できるカリキュラムを準備しましたか。
- 事業展開等リスキリング支援コースでは、事業展開等実施計画も準備しましたか。
- 支給申請までに訓練経費の全額を支払い、負担を確認できる振込通知書等を用意できますか。
- 受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出対象か確認しましたか。
チェック後の確認先|労働局と研修会社の役割
「いいえ」や未確認が残る項目は、対象コースと具体的な研修内容を添えて労働局に確認します。確認の際は、誰が、どの職務のために、何を学ぶかが分かるカリキュラムを手元に置くと整理できます。
ilandoは企業向け研修の企画・実施、カリキュラム資料の提供、見積りを行います。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務のため、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼します。
よくある質問
10時間以上の研修なら助成対象ですか。
時間だけでは判断できません。事業展開等リスキリング支援コースや人材育成支援コースの人材育成訓練では、OFF-JT、職務との関連、事業主・労働者等の条件も確認します。
生成AI研修はすべて対象外ですか。
事業展開等リスキリング支援コースの改正資料には、営業担当者が商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ対象例があります。汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は対象外の例です。
親会社に払う研修会場の借上費は対象ですか。
全コース共通の令和8年4月8日改正では、申請事業主の親会社・子会社への施設や設備の借上費が対象外経費の例に挙げられています。
eラーニングなら賃金助成も受けられますか。
事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースのeラーニングは、経費助成のみです。賃金助成は対象外です。
支給申請済みでも疎明書は必要ですか。
令和8年5月14日時点で支給・不支給が決定されていないものは対象です。既に支給申請をしている場合は、管轄の労働局からの追加提出案内を確認してください。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について
- 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金「人材育成支援コース」のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース 支給要領」(令和8年8月3日適用・1401・1402)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)