合同会社ilando
SUBSIDY GUIDE

助成金の対象にならない訓練と経費|密接な関係にある者との取引と不正受給

作成:合同会社ilando / 制度確認日:2026年11月9日 / 出典:厚生労働省の公開資料(版は各表の下と末尾の出典に記載)

人材開発支援助成金は、訓練の内容が適切でも、取引相手や経費の種類によって助成対象外になる場合があります。密接な関係にある者との訓練実施に係る経費や、職務への具体的な適用を伴わない訓練には注意が必要です。契約前に内容・支払先・実施形態を分けて確認します。

経過措置について 事業展開等リスキリング支援コースの令和8年8月3日の改正には経過措置があります。計画届の提出日が同日以降でも、教育訓練機関との契約・申込などが同年8月2日以前に行われている場合など、従前の支給要領が適用される場合があります(支給要領 1402)。適用関係は、最新の支給要領と管轄の労働局で確認してください(厚生労働省の資料による)。この改正は、他のコースの内容ではありません。

助成金の対象外は訓練内容と経費を分けて確認する

人材開発支援助成金は、職務に関連する知識や技能の習得を支援する制度です。計画に沿って訓練を行った場合などに、経費や訓練中の賃金の一部が助成されます。研修名に生成AIやDXと書いてあるだけでは、支給対象と判断できません。

確認する順番は、訓練の目的、受講者の職務、費用の支払先、実施形態です。内容に問題がなくても、密接な関係にある相手への支払いは経費助成の対象外になります。経費助成の対象でも、賃金助成が付かない実施形態もあります。

  • 訓練内容:利用するコースの目的と、受講者の具体的な業務が合っているか。
  • 取引と経費:誰に何の対価を払い、事業主がどう負担するのか。
  • 実施形態:通学、同時双方向の通信、eラーニングなどの区分は何か。

対象外の経費があることと、不正受給に該当することは分けて扱います。個々の取引について、この記事だけで不正と断定することはできません。契約書やカリキュラムを示して、管轄の労働局へ確認するための整理に使ってください。

密接な関係にある者との訓練経費は全コースで対象外

令和8年4月8日のコース共通改正では、関係者との取引が明示されています。申請事業主と密接な関係にある者との間の訓練実施に係る経費は、経費助成の支給対象になりません。対象となる関係と費目の例は次のとおりです。

人材開発支援助成金・全コース共通の対象外経費の例
取引の場面資料に示された関係対象外となる経費の例
事業内訓練の部外講師申請事業主の代表者等の配偶者・3親等以内の親族講師謝金
事業内訓練で施設を提供する他の事業主申請事業主の親会社・子会社施設・設備の借上費
事業外訓練の教育訓練機関申請事業主の代表者等、または申請事業主が雇用する者が代表者等である機関受講料・入学料等
出典はコース共通の令和8年4月8日改正資料です。令和8年4月8日版の各コース案内、事業展開等リスキリング支援コースの令和8年8月3日改正資料と併せて確認してください。

「他の事業主」という図中の表示は、あらゆる外部企業との取引を除外する意味ではありません。施設の提供者と申請事業主との関係を確認する必要があります。外部へ発注したという形式だけで、経費助成の対象になるとも判断できません。

資料には、このほかにも対象外の経費があると記載されています。表の例に当てはまらないことだけを理由に、対象と決めないでください。講師、施設、教育訓練機関ごとに、契約の相手と申請事業主との関係を整理して相談します。

DX・生成AI研修で助成対象外になる内容

令和8年8月3日改正の事業展開等リスキリング支援コースでは、DX化・GX化の訓練の扱いが変わりました。DXはデジタル技術による業務等の変革、GXは脱炭素に向けた取組を指します。職務に間接的に必要な知識や、職種を問わない共通知識の習得は助成対象外です。

  • DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練。
  • 脱炭素の基本理念や国際情勢、GX化を進める上で企業に求められる対応を学ぶ訓練。
  • 生成AIを利用するために、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練。プロンプトはAIへの指示文です。

同資料は、営業担当者が生成AIで商品提案書を作るための訓練を対象例に挙げています。構成案の作成、文章生成、修正方法が具体的な業務に直結するためです。生成AIという技術名ではなく、誰がどの作業に使うかを確認します。

受講者の選び方にも注意が必要です。資料のCO₂排出量算定の例では、算定業務の担当者は対象、人事や営業に従事する者は対象外とされています。これは汎用プロンプトの例とは別の説明です。別コースへの適用は、そのコースの要件で確認してください。

職務に結び付けた生成AI研修の内容は、生成AI・業務自動化の講座で、講座ごとの演習と成果物を確認できます。

受講料等の価格設定に関する疎明書を確認する

疎明書は、説明の根拠を示すための書類です。厚生労働省の公式ページは、受講料等の価格設定に関する疎明書の提出を案内しています。訓練計画届をいつ提出したかだけで、提出不要と判断しないでください。

人材開発支援助成金の公式ページが案内する価格設定の疎明書
確認事項内容
支給要領の改正日令和8年5月14日
書類名受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)
対象となる状態令和8年5月14日時点で支給申請が未提出、または申請済みでも支給・不支給が未決定
今後支給申請を行う場合支給申請に併せて提出
既に申請済みで対象となる場合管轄の労働局からの追加提出の案内を確認
疎明書の扱いは、公式ページの令和8年5月14日付支給要領改正の案内によります。令和8年4月8日版の概要資料と、令和8年8月3日のコース改正資料だけで提出書類を判断しないでください。

見積額を把握するだけでなく、何に対する受講料なのかを確認します。研修内容と価格の説明に使える資料を、契約前に研修会社へ求めておくと整理しやすくなります。疎明書の具体的な記載や添付資料は、使用する様式と労働局の案内で確認してください。

eラーニング等には賃金助成がない場合がある

経費助成と賃金助成は、別の助成です。受講料が経費助成の対象でも、受講中の賃金まで助成されるとは限りません。オンライン研修という名称だけで判断せず、実施形態を確かめてください。

資料に明記された賃金助成の対象外となる訓練
コース訓練の区分助成の扱い
事業展開等リスキリング支援コースeラーニング、通信制、定額制サービス経費助成のみ。賃金助成は対象外
人材育成支援コースeラーニング、通信制経費助成のみ。賃金助成は対象外
人への投資促進コース定額制訓練、自発的職業能力開発訓練賃金助成はなし

事業展開等リスキリング支援コースの資料は、同時双方向型の通信訓練も区別して説明しています。講師と受講者が同時にやり取りする研修と、教材を各自で学ぶ研修を混同しないことが必要です。複数の方法を組み合わせる場合も、組合せを伝えて確認します。

訓練経費は無料にならず、不正受給した事業主は公表される

厚生労働省の公式ページは、訓練経費が無料にならないことを明記しています。助成金は経費などの一部を助成する制度です。受講契約を結ぶ際は、事業主が払う費用と助成対象として申請する費用を区別してください。

事業展開等リスキリング支援コースなどの手続きでは、支給申請までに訓練経費の全額を支払います。会社が負担したことを確認できる振込通知書なども提出資料に含まれます。助成金の入金を前提に支払いを後回しにする計画は、この手順に合いません。

同じ公式ページには、不正受給した事業主は公表されると記載されています。研修会社の説明だけに頼らず、自社の受講状況と支払いを確かめて申請する必要があります。書類と実際の内容に相違があれば、申請前に事実を整理して労働局へ相談してください。

対象外か迷うときは労働局へ資料を示して相談する

相談時は、カリキュラム、受講者の職務、実施形態、費用の支払先をそろえます。関係者との取引については、代表者や従業員との関係、親会社・子会社の関係も伝えます。研修の良し悪しと、制度上の対象になるかは別に確認が必要です。

助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務で、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼します。

合同会社ilandoは、企業向け研修の企画と実施をオンライン・対面で行います。カリキュラム資料の提供と見積りに対応しています。研修内容の検討には当社の講座一覧も参照できます。

この記事は厚生労働省の概要・改正資料に基づく整理です。個別の経費や経過措置の適用は、契約と計画の内容によって確認が必要です。最新の内容は厚生労働省の公式ページと管轄の労働局で確認してください。

よくある質問

代表者の親族に講師を依頼した費用は対象ですか。

コース共通の改正資料は、申請事業主の代表者等の配偶者・3親等以内の親族への講師謝金を対象外の例に挙げています。実際の関係と費目を労働局へ伝えて確認してください。

取引先が別会社なら経費助成の対象になりますか。

別会社であることだけでは判断できません。親会社・子会社からの施設提供や、自社の代表者等・雇用する者が代表者等である教育訓練機関への受講料も対象外の例です。

汎用的な生成AI研修はすべてのコースで対象外ですか。

引用した対象外の説明は、事業展開等リスキリング支援コースのDX化・GX化に関する訓練のものです。他のコースで対象になるかは、それぞれの目的と要件に沿って労働局へ確認が必要です。

受講料が助成されれば、eラーニングの受講中の賃金も助成されますか。

事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースでは、eラーニングは経費助成のみで、賃金助成は対象外です。経費助成と賃金助成を分けて予算を組んでください。

対象外の費用が見つかったら、不正受給になりますか。

対象外の経費があることだけで、不正受給とは断定できません。申請内容と実際の訓練・支払いを確認し、相違点を管轄の労働局へ相談してください。

出典

助成金の申請書類の作成と提出の代行は、社会保険労務士の業務(社会保険労務士法第2条・第27条)のため、ilandoでは行っていません。助成の可否は管轄の都道府県労働局が判断します。制度は改正されることがあるため、申請前に最新の内容をご確認ください。

助成金を使う研修のご相談

対象の職務、人数、希望の時期をお知らせください。時間数とカリキュラムの資料をご用意します。