人材育成支援コースは、従業員の職務に関連する知識・技能の習得を支える助成です。通常の人材育成訓練に加え、新卒者等、有期契約労働者等、中高年齢者に向けた実習付き訓練があります。受講者の雇用形態や年齢、訓練の目的に合わせて区分を確認します。
人材育成支援コースの対象事業主・対象労働者
対象事業主は、雇用保険適用事業所の事業主です。対象労働者は、雇用保険に加入している被保険者です。雇用している従業員の職務に関連する専門的な知識・技能を学ぶ訓練を検討します。
助成対象には、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部があります。雇用保険への加入だけで支給が決まるものではありません。雇用関係助成金の共通要件に加え、選ぶ訓練区分の要件も確認が必要です。
OFF-JTは、企業の事業活動と区別して行う訓練です。OJTは、仕事の実習を通じて学ぶ訓練を指します。実習付きの訓練では、両方を組み合わせた計画を作成します。
4つの訓練の違い|人材育成訓練と実習付き訓練
| 訓練区分 | 対象・目的 | 訓練の構成 |
|---|---|---|
| 人材育成訓練 | 職務に関連する知識・技能の習得。 | 10時間以上のOFF-JT。 |
| 認定実習併用職業訓練 | 新卒者等を対象に実施する訓練。 | OJTとOFF-JTを組み合わせ、厚生労働大臣の認定を受けます。 |
| 有期実習型訓練 | 有期契約労働者等の正社員転換等を目指す訓練。 | OJTとOFF-JTを組み合わせます。 |
| 中高年齢者実習型訓練 | 45歳以上の労働者を対象とする訓練。 | OJTとOFF-JTを組み合わせます。 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
人材育成訓練は、OFF-JTによる知識・技能の習得を扱う区分です。他の実習付き訓練とは、対象者や目的、事前手続きが異なります。同じ研修時間でも、目的に合わない区分の助成条件は使えません。
有期契約労働者等が受ける人材育成訓練と、有期実習型訓練は別の区分です。後者は正社員転換等を目的とし、OJTを組み合わせます。受講者の雇用形態だけで、この区分が決まるわけではありません。
人材育成訓練の経費助成率|正規雇用と有期契約
| 労働者の区分 | 中小企業・通常分 | 大企業・通常分 | 賃金等の要件を満たす場合の加算 |
|---|---|---|---|
| 正規雇用労働者等 | 45% | 30% | 各15ポイント |
| 有期契約労働者等 | 70% | 70% | 各15ポイント |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
加算には、訓練修了後の賃金改定や資格等手当の要件があります。通常分の助成率と加算分を分けて確認してください。研修を修了しただけで、加算要件を満たすわけではありません。
| 加算に関する要件 | 人材育成支援コースのリーフレットに記載された条件 |
|---|---|
| 賃金要件 | 訓練修了後の賃金改定前後を比較し、受講者の賃金が5%以上上昇。 |
| 資格等手当要件 | 手当の支払いを就業規則等に規定し、訓練修了後に支給。支払い前後の賃金が3%以上上昇。 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
本記事では、賃金助成の金額は掲載していません。訓練区分ごとの賃金助成額は、最新の詳細パンフレットで確認してください。eラーニング・通信制による訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外です。
経費助成限度額と年度の受講回数|時間数別に比較
| 実訓練時間数 | 中小企業・1人1訓練 | 大企業・1人1訓練 |
|---|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 15万円 | 10万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
この表は受講者ごとの経費助成の上限です。経費助成率と限度額は別の条件であり、上限額がそのまま支給されるという意味ではありません。訓練時間、対象経費、労働者区分、企業規模を合わせて確認します。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 1事業所・1年度の助成限度額 | 1,000万円。 |
| 労働者1人の訓練受講回数 | 1年度で3回まで。 |
| 有期実習型訓練の回数 | 同一事業主が同一労働者に対して1回まで。 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
受講回数は、受講者ごとの訓練計画を立てる際に確認します。事業所全体の年度上限は、個人ごとの経費上限とは別に設けられています。複数の従業員や研修を計画する場合は、個人と事業所の両方で整理してください。
令和8年4月8日改正|中高年齢者実習型訓練の新設
中高年齢者実習型訓練の新設は、厚生労働省のページの令和8年4月8日のお知らせに記載されています。人材育成支援コースのリーフレットには、45歳以上の労働者にOJTとOFF-JTを組み合わせる訓練とあります。年齢条件と実習を含む構成を確認してください。
中高年齢者実習型訓練では、キャリアコンサルティングの実施が手続きに示されています。これは、仕事や能力開発に関する相談を通じて訓練の必要性を確認するものです。受講者はジョブ・カードを作成し、カリキュラムに基づく面接を受けます。
ジョブ・カードは、職務経験や能力などを整理するための書類です。キャリアコンサルタント等の面接により、訓練の必要性の有無を確認します。年齢条件に合うことと、訓練の必要性を確認する手続きは分けて考えてください。
申請手続き|認定・正社員転換と計画提出の期限
職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知が出発点です。社内の育成を進める担当者を定め、育成方針を従業員に伝えます。そのうえで、選ぶ訓練区分に応じた事前手続きを確認します。
- 認定実習併用職業訓練は、実習併用職業訓練について厚生労働大臣の認定を受けます。実践型人材養成システム実施計画は、訓練開始日の30日前までに提出します。キャリアコンサルティングも実施します。
- 有期実習型訓練や中高年齢者実習型訓練は、ジョブ・カードの作成と面接による訓練の必要性の確認があります。
- 有期実習型訓練は、支給申請日までに正社員転換が必要です。転換できなかった場合の扱いには、別の条件があります。
| 段階 | 内容と期限 |
|---|---|
| Step1 計画提出 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、計画届・対象労働者一覧・カリキュラムなどを管轄労働局へ提出。 |
| Step2 訓練実施 | 計画に基づき訓練を実施。支給申請までに、訓練にかかった経費全額を支払います。 |
| Step3 支給申請 | 訓練終了日の翌日から2か月以内に、支給申請書と必要資料を管轄労働局へ提出。 |
出典:厚生労働省「人材育成支援コースのご案内」令和8年4月8日版
有期実習型訓練で正社員転換ができなくても、人材育成訓練の助成内容となる場合があります。支給決定時までに、推進者の選任や育成計画の策定・周知などが必要です。定期的なキャリアコンサルティングの機会確保等も条件に含まれるため、労働局で確認してください。
支給申請では、実施状況報告書や助成額を算定した書類などを提出します。雇用契約書、振込通知書、出勤簿、タイムカード、賃金台帳の写しなども確認資料です。訓練の実施内容と勤務・支払の記録を照合できるよう保管します。
助成金の確認先とilandoの研修対応
電子申請にはGビズIDの申請・取得が必要です。様式と最新パンフレットは、厚生労働省の公式ページに掲載されています。助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。
合同会社ilandoは、企業向け研修の企画と実施をオンライン・対面で行います。カリキュラム資料の提供と見積りに対応します。研修の内容は当社の講座一覧をご覧ください。
助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務で、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼してください。最新の内容は厚生労働省の公式ページと管轄の労働局で確認してください。
職務別の講座は、講座一覧に時間数・対象職務・カリキュラムつきで掲載しています。人材育成訓練の条件である10時間以上のOFF-JTは、各講座の時間数と回ごとの内容で確認できます。
よくある質問
人材育成訓練と認定実習併用職業訓練はどう違いますか。
人材育成訓練は10時間以上のOFF-JTです。認定実習併用職業訓練は新卒者等を対象にOJTとOFF-JTを組み合わせ、厚生労働大臣の認定を受けます。
有期契約社員の研修はすべて有期実習型訓練ですか。
有期契約労働者等が受ける人材育成訓練もあります。有期実習型訓練は正社員転換等を目的とし、OJTとOFF-JTを組み合わせる別の区分です。
中高年齢者実習型訓練は何歳からですか。
人材育成支援コースのリーフレットでは45歳以上の労働者が対象です。年齢のほか、訓練内容やキャリアコンサルティングなどの手続きも確認してください。
eラーニングに賃金助成はありますか。
人材育成支援コースのeラーニング・通信制による訓練は経費助成のみです。その他の訓練の賃金助成額は、最新の詳細パンフレットで確認してください。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人材育成支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)