人材開発支援助成金は、職務に関連する訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。雇用する労働者に、計画に沿って専門的な知識や技能を身につけてもらう事業主等が対象です。研修の目的、対象者、実施方法に合うコースを確認してから、訓練開始前の計画提出へ進みます。
人材開発支援助成金とは|研修費用と賃金の一部を助成
制度の趣旨は、労働者の職務に関連する知識・技能の習得を支えることです。会社が研修を購入しただけで、助成が決まるわけではありません。訓練内容や対象者などの要件を満たし、計画に沿って実施する必要があります。
経費助成は訓練にかかった費用への助成、賃金助成は訓練期間中の賃金への助成です。どの費用が対象になるかは、コースと訓練方法で異なります。費用全体と助成対象経費を分けて考える必要があります。
人材開発支援助成金の7コース一覧と対象訓練
厚生労働省のトップページには、次の7コースが掲載されています。障害者職業能力開発コースは移管済みのため、一覧上の名称と現在の制度を区別してください。
| コース名 | 対象となる訓練・制度の概要 |
|---|---|
| 人材育成支援コース | 職務に関連する訓練、認定を受けた実習付き訓練、正社員化を目指す訓練など。 |
| 教育訓練休暇等付与コース | 有給の教育訓練休暇等の制度を導入し、労働者が休暇を取得して受ける訓練。 |
| 人への投資促進コース | 高度なデジタル人材の育成、自発的な学び、定額制サービスによる訓練など。 |
| 事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業の立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要となる知識・技能を学ぶ訓練。 |
| 建設労働者認定訓練コース | 建設関連の認定職業訓練・指導員訓練や、建設労働者が有給で受ける認定訓練。 |
| 建設労働者技能実習コース | 雇用する建設労働者が、技能向上のために有給で受ける実習。 |
| 障害者職業能力開発コース | 障害者の職業能力を開発・向上させる訓練施設の設置・運営。令和6年4月から別制度へ移管。 |
通常の職務能力の育成と、新たな事業展開に向けた学び直しでは、確認するコースが異なります。休暇制度の導入や、労働者が自発的に受ける訓練も別の検討軸です。講座名だけで選ばず、会社の計画と受講者の職務を照らし合わせてください。
対象事業主・対象労働者と研修の要件
人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースの対象事業主は、雇用保険適用事業所の事業主です。対象労働者は、雇用保険に加入している被保険者です。この条件だけで受給が決まるものではなく、訓練ごとの要件も確認します。
OFF-JTとは、企業の事業活動と区別して行う訓練です。OJTは、仕事の実習を通じて学ぶ訓練を指します。人材育成支援コースには、これらを組み合わせる訓練もあります。
雇用関係助成金には共通の受給要件もあります。対象となる事業主、労働者、訓練の詳細は、各コースのパンフレットに掲載されています。一般向けの制度紹介だけで、個別の研修が対象になるとは判断できません。
申請の流れStep0〜3|計画提出と支給申請の期限
人材育成支援、人への投資促進、事業展開等リスキリング支援の各コースは、以下の流れが基本です。長期教育訓練休暇等制度などは、手続きや提出書類が一部異なります。
| 段階 | 行うこと | 期限・確認事項 |
|---|---|---|
| Step0 準備 | 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知します。 | 社内の育成計画を基に、個別の職業訓練実施計画を作成します。 |
| Step1 計画提出 | 計画届、対象労働者一覧、カリキュラムなどを管轄労働局へ提出します。 | 訓練開始日の6か月前から1か月前まで。 |
| Step2 訓練実施 | 提出した計画に基づいて訓練を実施します。 | 支給申請までに、訓練にかかった経費全額を支払います。 |
| Step3 支給申請 | 実施報告や支払・勤務の記録などを添えて申請します。 | 訓練終了・修了日の翌日から2か月以内。 |
職業能力開発推進者は、社内の職業能力開発を進める担当者です。事業内職業能力開発計画は、会社として人材をどう育成するかを示す計画です。担当者の選任と計画の周知を、個別研修の申込みと併せて確認してください。
支給申請には、雇用契約書の写し、出勤簿、タイムカード、賃金台帳などを使います。訓練費用を負担したことが分かる振込通知書や、修了を確認する資料も必要です。実施した内容と申請内容を照合できる状態で保管します。
助成金の注意点|訓練経費・不正受給・令和8年改正
厚生労働省は、訓練経費は無料にならないと注意喚起しています。事業主には、支給申請までに訓練経費全額を支払う手続きがあります。受給を前提に負担がなくなると考えず、費用の支払いと助成の判断を分けてください。
不正受給した事業主は公表されます。訓練の実施状況、対象者、支払内容を事実どおりに記録する必要があります。計画どおりの実施が難しくなった場合は、変更届の取扱いを管轄の労働局などに確認してください。
令和8年4月8日の共通改正では、密接な関係にある者との訓練経費が対象外とされています。代表者等の配偶者や3親等以内の親族への講師謝金、親会社・子会社への施設借上費などが例示されています。研修の内容に加えて、費用の支払先も確認が必要です。
令和8年5月14日の改正では、受講料等の価格設定に関する疎明書の提出が追加されました。今後の支給申請では、様式第28号を併せて提出する案内が掲載されています。既に申請している場合も、支給・不支給の決定状況によって追加提出の対象になります。
申請窓口と電子申請|GビズID・ilandoの対応範囲
問い合わせ先・申請窓口は、管轄の都道府県労働局です。電子申請を利用する場合は、GビズIDの申請・取得が必要です。申請様式やコース別の最新版パンフレットは、厚生労働省の公式ページで確認できます。
申請様式は、計画届の提出時期によって確認が必要です。改正後の様式を使うよう個別に案内されている書類もあります。古い様式を流用する前に、公式ページのお知らせを確認してください。
令和8年8月3日以降の支給申請では、eラーニング訓練実施結果報告書の様式にも注意が必要です。令和7年4月1日以降に提出した計画届については、同報告書の改正様式を使う案内があります。計画届の時期と、支給申請の時期を照合して書類を選びます。
合同会社ilandoは、企業向け研修の企画と実施をオンライン・対面で行います。カリキュラム資料の提供と見積りにも対応します。研修の内容は当社の講座一覧をご覧ください。
助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務で、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼してください。
ilandoの講座は、講座一覧に時間数と対象職務つきで掲載しています。分野別の入口は、生成AI・業務自動化、プログラミング・開発、データ分析・活用、情報システム・セキュリティ、Web・マーケティング・デザイン、事業開発・プロジェクトです。
よくある質問
研修を受ければ助成金は支給されますか。
訓練の受講だけで支給が決まるわけではありません。事業主・労働者・訓練の要件と必要な手続きを満たす必要があり、助成の可否は管轄の労働局が判断します。
研修の開始後に計画を提出できますか。
紹介した主な訓練コースでは、開始日の6か月前から1か月前までの計画提出が基本です。制度ごとの例外や変更の扱いは、管轄の労働局で確認してください。
電子申請には何が必要ですか。
GビズIDの申請・取得が必要です。電子申請の入口や申請書類は、厚生労働省の公式ページで案内されています。
ilandoに申請を任せられますか。
ilandoは申請書類の作成・提出の代行を行いません。事業主が申請するか、社会保険労務士に依頼してください。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人への投資促進コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人材育成支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)