事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開などに伴う新たな知識・技能の習得を支える助成です。事業展開、DX化・GX化、計画に基づく将来の職務という3類型が示されています。訓練の目的と実際の職務との関係を整理して、対象要件を確認します。
対象訓練の3類型|事業展開・DX化・GX化・将来の職務
対象事業主は雇用保険適用事業所の事業主、対象労働者は雇用保険被保険者です。訓練は職務に関連し、10時間以上のOFF-JTであることが要件です。OFF-JTは、企業の事業活動と区別して行う訓練を指します。
| 類型 | 訓練の目的と条件 |
|---|---|
| ⅰ 事業展開 | 新たな事業展開に当たり、新分野で必要となる専門的な知識・技能を習得する訓練。 |
| ⅱ DX化・GX化 | デジタル技術による業務等の変革や、脱炭素化に関連する業務で必要な知識・技能を習得する訓練。 |
| ⅲ 将来の職務 | 人事・人材育成計画に基づき、今後従事する職務に必要な専門的な知識・技能を習得する訓練。 |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年4月8日版
ⅲの人事・人材育成計画は、事前に認定経営革新等支援機関の確認を受ける必要があります。これは国の認定を受けた経営支援の機関です。社内で計画を作成するだけでは、この確認を済ませたことにはなりません。
事業展開等実施計画と事業展開の時期の条件
本コースでは、事業展開等実施計画を職業訓練実施計画届と併せて提出します。事業の取組内容を整理し、訓練との関係を具体的に記載できるよう準備します。対象労働者一覧と、内容を確認できるカリキュラムも提出資料です。
| 確認項目 | 訓練開始日から起算した条件 |
|---|---|
| ⅰの事業展開 | 3年以内に実施する予定、または6か月以内に実施したもの。 |
| ⅲの将来の職務 | 3年以内に従事する予定の職務。 |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年4月8日版
事業の実施時期と訓練開始日は、計画を作る段階で照合します。将来の職務に向けた訓練では、配属などの予定を人事・人材育成計画と結び付けます。実施計画の提出期限と、事業展開自体の時期要件は別に確認してください。
助成率・賃金助成・時間数別限度額|中小企業と大企業
| 助成の種類 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成額・1人1時間当たり | 1,000円 | 500円 |
| 経費助成限度額・1人当たり/10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 経費助成限度額・1人当たり/100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
| 経費助成限度額・1人当たり/200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
| 1事業所・1年度の助成限度額 | 1億円 | 1億円 |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年4月8日版
経費助成率と経費助成限度額は、どちらも確認が必要です。時間が長い訓練でも、訓練方法によっては別の上限が適用されます。eラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は対象外です。
eラーニングの上限と年度の受講回数|令和8年改正
| 対象・単位 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| eラーニング・通信制等の経費助成上限/1人1訓練 | 15万円 | 10万円 |
| 定額制サービスの経費助成上限/1人1か月 | 2万円 | 2万円 |
| コース全体の受講回数/同一労働者・1年度 | 3回まで | 3回まで |
| うちeラーニングの受講回数/同一労働者・1年度 | 1回まで | 1回まで |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コース 改正:令和8年8月3日からの変更点」
令和8年4月8日の変更で、eラーニング・通信制の経費助成上限が見直されました。訓練時間数にかかわらず、表の上限が一律に適用されます。通学制や同時双方向型の通信訓練と組み合わせる場合も含まれます。
受講回数を数える年度は支給申請日を基準とし、4月1日から翌年3月31日までです。eラーニングの回数制限は、複数の実施方法を組み合わせる訓練にも適用されます。計画届の提出日と支給申請日の両方を確認してください。
定額制サービスでは、支給申請時に本人が修了した訓練の標準学習時間が10時間以上必要です。これは人への投資促進コースと共通の、令和8年4月8日の変更です。複数の受講者の時間を足して要件を満たす扱いとは異なります。
設備投資加算の対象・助成率・限度額
設備投資加算は、事業展開促進機器等を導入した中小企業向けの加算です。賃金要件または資格等手当要件のいずれかを満たす必要があります。通常分の支給申請とは別に、設備投資加算の支給申請を行います。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 加算率/1コースの一の導入費用当たり | 50% | 対象外 |
| 加算限度額/支給対象労働者1人につき | 15万円 | 対象外 |
| 支給対象労働者が10人以上の場合の限度額 | 人数にかかわらず150万円 | 対象外 |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年4月8日版
機器の購入だけで加算の受給が決まるものではありません。訓練、機器導入、賃金等の要件をそれぞれ確認します。会社が導入する設備と、訓練で習得する技能の関係も整理しておく必要があります。
令和8年8月3日改正|DX・GXで対象外になる訓練
DX化・GX化に関する訓練では、職務に間接的に必要な知識・技能の習得が対象外とされています。職種を問わず、職業人として共通して必要な内容も対象外です。名称に生成AIやDXと付いているだけでは判断できません。
- 営業担当者が、生成AIで商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ訓練は、資料の対象例です。
- 特定業務への適用を伴わず、汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練は、資料の対象外例です。
- DXの概念やデジタル技術の概要、脱炭素の基本理念などにとどまる訓練は、資料の対象外例です。
CO₂排出量の計算手順を学ぶ訓練は、対象者の職務によって扱いが変わる例です。算定業務の担当者には対象例、人事・営業の担当者には対象外例として示されています。カリキュラムと受講者の仕事が直接結び付くかを確認してください。
申請手続きとilandoの研修対応
| 段階 | 対応内容 |
|---|---|
| Step0 | 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知します。 |
| Step1 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、計画届と事業展開等実施計画などを管轄労働局へ提出します。 |
| Step2 | 計画どおり訓練を行い、支給申請までに訓練経費全額を支払います。 |
| Step3 | 訓練終了日の翌日から2か月以内に、実施報告・振込通知書・勤務記録などを添えて申請します。 |
出典:厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内」令和8年4月8日版
合同会社ilandoは、オンライン・対面で企業向け研修を企画・実施します。カリキュラム資料の提供と見積りに対応します。研修の内容は当社の講座一覧をご覧ください。
助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務で、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼してください。
職務別の講座の例として、営業担当者のための生成AI活用講座(12時間)、経理・総務担当者のための生成AIとExcel業務効率化講座(15時間)、人事・採用担当者のための生成AI活用講座(12時間)、新規事業開発講座(24時間)があります。講座ごとの時間数と演習の内容は、各ページで確認できます。助成の可否は、計画届の内容に基づき管轄の都道府県労働局が判断します。
よくある質問
通常の業務研修も対象になりますか。
本コースでは、事業展開等に関する類型と職務との関係を確認します。一般的な知識の習得だけでは対象にならない場合があり、特にDX・GX訓練は改正後の対象外要件に注意が必要です。
eラーニングでも賃金助成を受けられますか。
本コースのeラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練は、経費助成のみです。賃金助成は対象外です。
将来の配属先に向けた訓練は対象ですか。
人事・人材育成計画に基づく将来の職務の類型があります。事前に認定経営革新等支援機関の確認が必要で、訓練開始日から3年以内に従事する予定の職務が対象です。
設備投資加算は大企業にもありますか。
事業展開等リスキリング支援コースのリーフレットでは中小企業が対象です。機器導入に加えて賃金要件または資格等手当要件を満たし、通常分とは別に申請する必要があります。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース 支給要領」(令和8年8月3日適用・1401・1402)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)