人への投資促進コースは、高度人材の育成、自発的な学び、定額制訓練などを支える助成です。令和4〜8年度の期間限定助成として、5つのメニューが設けられています。会社主導の訓練か、本人の自発的な学びか、休暇制度の導入かで確認する内容が変わります。
人への投資促進コースの5メニューと対象訓練
本コースは、職務に関連する訓練を事前の計画に沿って実施する事業主等を支援します。高度デジタル人材訓練と成長分野等人材訓練は、制度紹介では同じメニューの枠に入っています。助成内容は異なるため、表では分けて示します。
| メニュー | 対象・目的 |
|---|---|
| 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 | ITスキル標準・DX推進スキル標準レベル3・4等の訓練/海外を含む大学院での訓練。 |
| 定額制訓練 | 定額で受講できるサブスクリプション型研修サービスの利用。 |
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT分野未経験者の即戦力化に向け、OFF-JTとOJTを組み合わせる訓練。 |
| 自発的職業能力開発訓練 | 労働者が自発的に受講する訓練の費用を、事業主が負担するもの。 |
| 長期教育訓練休暇等制度 | 自発的な学びのための休暇、所定労働時間の短縮・所定外労働時間の免除制度。 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
OFF-JTは、企業の事業活動と区別して行う訓練です。OJTは仕事の実習を通じて学ぶ訓練を指します。高度デジタル人材訓練等で使うスキル標準は、育成する能力の水準を示す基準です。
助成率と賃金助成の比較|中小企業・大企業
| 訓練メニュー | 経費助成率・中小企業/大企業 | 賃金助成・1人1時間/中小企業・大企業 |
|---|---|---|
| 高度デジタル人材訓練 | 75%/60% | 1,000円/500円 |
| 成長分野等人材訓練 | 企業規模共通75% | 国内大学院の場合、企業規模共通1,000円 |
| 定額制訓練 | 60%/45%。要件を満たす場合は各15ポイント加算 | 対象外 |
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | 60%/45%。要件を満たす場合は各15ポイント加算 | 800円/400円。要件を満たす場合は200円/100円加算 |
| 自発的職業能力開発訓練 | 企業規模共通45%。要件を満たす場合は15ポイント加算 | 対象外 |
| 長期教育訓練休暇制度 | 率ではなく定額助成。次の表を参照 | 有給休暇の場合1,000円/800円。大企業は要件を満たす場合200円加算 |
| 所定労働時間の短縮・所定外労働時間の免除制度 | 率ではなく定額助成。次の表を参照 | 対象外 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
成長分野等人材訓練の賃金助成は、国内大学院の場合として示されています。海外大学院の訓練に同じ賃金助成額を当てはめないでください。通常分の率と、要件を満たした場合の加算も分けて確認します。
| 対象 | 通常額・中小企業/大企業 | 要件を満たす場合の加算 |
|---|---|---|
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練・OJT実施助成/1人1訓練 | 20万円/11万円 | 5万円/3万円 |
| 長期教育訓練休暇制度/30日以上の休暇取得 | 企業規模共通20万円 | 企業規模共通4万円 |
| 所定労働時間の短縮・所定外労働時間の免除制度 | 企業規模共通20万円 | 企業規模共通4万円 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
経費助成限度額・賃金助成の時間上限・受講回数
| メニュー | 経費助成限度額 | 賃金助成の時間上限 | 年度の受講回数 |
|---|---|---|---|
| 高度デジタル人材訓練 | 通常の訓練:中小30〜50万円、大企業20〜30万円。大学:中小150万円、大企業100万円。 | 原則1,200時間。大学・大学院・専門実践教育訓練は1,600時間。 | 3回まで |
| 成長分野等人材訓練 | 大学院:企業規模共通で国内150万円、海外500万円。 | 国内大学院は1,600時間。 | 3回まで |
| 定額制訓練 | 企業規模共通で1人1か月2万円。 | 対象外 | 3回まで。定額制サービスの通算制限も適用。 |
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | 中小15〜50万円、大企業10〜30万円。 | 1,200時間。 | 1回まで |
| 自発的職業能力開発訓練 | 企業規模共通で通常7〜20万円、大学60万円、大学院は国内60万円・海外200万円。 | 対象外 | 3回まで。定額制サービスの通算制限も適用。 |
| 長期教育訓練休暇等制度 | 経費助成は1事業主1回までの定額。 | 有給長期休暇のみ、中小1,600時間、大企業1,200時間。 | 資料の受講回数欄は「-」。賃金助成の人数制限なし。 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
定額制訓練と自発的職業能力開発訓練には、それぞれ年度3回までの上限があります。さらに、両メニューの定額制サービスと、事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスは通算で3回までです。契約やコースが違っても、この通算条件を確認します。
| 対象範囲 | 上限 |
|---|---|
| 成長分野等人材訓練を除く本コース | 1,000万円。うち自発的職業能力開発訓練は300万円まで。 |
| 成長分野等人材訓練 | 2,500万円。 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
令和8年4月8日追加|新規採用助成・職務代行助成
長期教育訓練休暇等制度に、新規採用助成・職務代行助成が追加されました。厚生労働省のページのお知らせに令和8年4月8日の追加が掲載されています。人への投資促進コースのリーフレットでは、長期教育訓練休暇制度について中小企業向けの助成として案内されています。
| 項目 | 対象 | 助成額・助成率・上限 |
|---|---|---|
| 新規採用助成 | 中小企業 | 27万円・45万円・67.5万円。長期教育訓練休暇の取得期間により異なります。 |
| 職務代行助成 | 中小企業 | 助成率75%。月16万円が上限です。 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
長期教育訓練休暇等制度は、制度を導入済みの企業も対象とされています。休暇と短時間勤務等では助成内容が異なります。通常の訓練メニューと申請手続き・提出書類が一部違うため、専用の案内を確認してください。
定額制訓練の要件|各受講者の修了時間を確認
令和8年4月8日の共通改正で、定額制サービスの対象労働者の要件が変わりました。支給申請時に、本人が修了した訓練の標準学習時間が10時間以上必要です。全員の学習時間の合計では判定しません。
訓練実施結果報告書は、対象労働者が10人以上なら任意の10人分を提出します。10人未満なら全員分が必要です。それ以外の対象者も提出を求められる場合があるため、資料を整備・保管します。
教育訓練機関が発行する、受講時間が10時間以上の者の一覧表も提出対象です。修了証や学習管理システムの情報の写しは、通常の提出が不要となっています。ただし、労働局から提出を求められる場合があるため保管は必要です。
人への投資促進コースの申請手続きと相談先
| 段階 | 対応と期限 |
|---|---|
| Step0 | 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知します。 |
| Step1 | 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、計画届・対象労働者一覧・カリキュラムを提出します。 |
| Step2 | 計画に沿って訓練を実施し、支給申請までに訓練経費全額を支払います。 |
| Step3 | 訓練修了日の翌日から2か月以内に、必要書類を管轄労働局へ提出します。 |
出典:厚生労働省「人への投資促進コースのご案内」令和8年4月8日版
支給申請では、労働条件が分かる書類、勤務・賃金の記録、費用の振込通知書などを使います。訓練の修了を証明する書類も確認してください。最新の内容は厚生労働省の公式ページと管轄の労働局で確認してください。
合同会社ilandoは、企業向け研修をオンライン・対面で企画・実施します。カリキュラム資料の提供と見積りに対応します。研修の内容は当社の講座一覧をご覧ください。
助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務で、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼してください。
IT・データ分野の講座の例として、機械学習入門講座(30時間)、AWSクラウド入門講座(20時間)、TypeScriptとReactによるフロントエンド開発講座(40時間)があります。人への投資促進コースのどのメニューに当たるかは、訓練の内容と各メニューの要件に基づき、管轄の都道府県労働局が判断します。
よくある質問
人への投資促進コースはいつまでの制度ですか。
人への投資促進コースのリーフレットでは令和4〜8年度の期間限定助成とされています。その後の取扱いは、この資料からは判断できません。最新の公式案内で確認してください。
会社が指示する研修と自発的な学びは同じ扱いですか。
自発的職業能力開発訓練は、労働者が自発的に受ける訓練費用を事業主が負担するメニューです。会社主導の訓練と区別して、目的や受講の経緯を確認します。
定額制サービスは契約するだけで対象になりますか。
契約だけでは足りません。支給申請時に、各労働者が修了した訓練の標準学習時間が10時間以上であることなど、対象要件を満たす必要があります。
長期教育訓練休暇の賃金助成に人数制限はありますか。
人への投資促進コースのリーフレットでは賃金助成の人数制限はないとされています。ただし、有給休暇の場合の助成で、企業規模別の時間上限などがあります。経費助成は1事業主1回までです。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 厚生労働省「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人への投資促進コースのご案内(令和8年4月8日版)」
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)