eラーニング研修も、各コースの条件を満たせば経費助成の対象になります。事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースでは、eラーニングの賃金助成は対象外です。受講方法だけで決めず、訓練内容、費用の上限、受講回数をコースごとに確認します。
eラーニング研修は助成金の対象か|内容と方法を分けて確認
eラーニングは、オンラインで学習する研修方法です。助成対象となるかは、利用する人材開発支援助成金のコースと、職務に関連する内容かどうかで確認します。動画の視聴やサービスの契約だけで、受給が決まるものではありません。
- 事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開やDX化・GX化等に伴う所定の訓練か確認します。
- 人材育成支援コースは、職務に関連する専門的な知識・技能を学ぶ訓練か確認します。
- 人への投資促進コースは、定額制訓練など、利用するメニューの条件を確認します。
事業展開等リスキリング支援コースの基本条件には、10時間以上のOFF-JTがあります。OFF-JTは、企業の事業活動と区別して行う訓練です。人材育成支援コースの人材育成訓練も、10時間以上のOFF-JTが対象です。
リスキリング支援コースのeラーニング経費上限
事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニング・通信制の経費助成上限が変更されています。令和8年4月8日から、訓練時間にかかわらず企業規模別の上限を使います。助成率と上限額は別の数字なので、予算では両方を確認します。
| 確認項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率・通常分 | 75% | 60% |
| 1人1訓練当たりの経費助成上限 | 15万円 | 10万円 |
| 賃金助成 | 対象外 | 対象外 |
| 時間数で経費助成上限が変わるか | 時間数にかかわらず一律 | 時間数にかかわらず一律 |
同コースでは、eラーニング・通信制を通学制や同時双方向型の通信訓練と組み合わせた場合も、上表の経費助成上限が一律に適用されます。対面の時間を含むことだけを理由に、時間数別の別の上限へ置き換えないでください。
eラーニングの受講回数は年度1回までか
事業展開等リスキリング支援コースでは、令和8年8月3日改正でeラーニングの回数上限が変わりました。コース全体の上限と、そのうちeラーニングに使える回数を分けて確認します。社内では、同じ労働者の計画届提出日と支給申請日を照合できる形に整理します。
| 項目 | 上限・基準 |
|---|---|
| 同一労働者のコース全体 | 一の年度で3回まで |
| 上記のうちeラーニング | 一の年度で1回まで |
| eラーニングの対象範囲 | 複数の実施方法を組み合わせる訓練も含む |
| 年度の基準 | 支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日 |
| eラーニング回数への算入 | 令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練のみ |
この年度1回の制限は、事業展開等リスキリング支援コースのeラーニングについての説明です。他コースのeラーニングに、そのまま同じ上限を当てはめることはできません。訓練の年度は、受講開始日だけを見て判断しないでください。
人材育成支援コース・人への投資促進コースとの違い
人材育成支援コースの案内も、eラーニング・通信制は経費助成のみとしています。人への投資促進コースでは、定額制訓練の経費助成と賃金助成の有無が示されています。異なるメニューの助成率や限度額を、eラーニング全般の数字として扱わないでください。
| コース・訓練 | 経費助成等の確認事項 | 賃金助成 |
|---|---|---|
| 人材育成支援コース・人材育成訓練(正規雇用労働者等) | 通常の経費助成率は中小企業45%・大企業30% | eラーニング・通信制は対象外 |
| 人材育成支援コース・受講回数 | 労働者1人につき年度3回まで。有期実習型訓練は同一事業主・同一労働者で1回まで | 訓練方法ごとに確認 |
| 人への投資促進コース・定額制訓練 | 通常の経費助成率は中小企業60%・大企業45% | なし |
| 人への投資促進コース・自発的職業能力開発訓練 | 労働者の自発的な訓練費用を事業主が負担した訓練。通常の経費助成率45% | なし |
定額制eラーニングは受講者ごとの修了時間を確認
定額制サービスは、一定の料金で研修を受けるサブスクリプション型のサービスです。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースには、定額制サービスによる訓練の扱いがあります。通常のeラーニングの経費上限だけで予算を組まず、定額制の条件を確認します。
| 対象コース・訓練 | 確認する条件 |
|---|---|
| 人への投資促進コース・定額制訓練/事業展開等リスキリング支援コース・定額制サービス | 経費助成限度額は受講者1人1か月2万円 |
| 上記両コースの定額制サービス | 支給申請時に、修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の者が対象 |
| 上記両コースの定額制サービス | 修了した訓練の標準学習時間が10時間未満の者は支給対象労働者に含められない |
| 人への投資促進コース・定額制訓練 | 受講者1人につき年度3回まで |
| 人への投資促進コース・定額制訓練と自発的職業能力開発訓練の定額制サービス、事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービス | 受講者1人につき年度の通算も3回まで |
標準学習時間は、修了した訓練について確認する時間です。契約した人数をそのまま支給対象人数に置き換えず、対象者ごとの修了状況を確認します。教育訓練機関が発行する、受講時間が10時間以上の者の一覧表も提出書類に含まれます。
汎用的なAI・DX研修は対象外になるか
事業展開等リスキリング支援コースのDX化・GX化では、学習内容と職務との直接の関係を確認します。DXはデジタル技術による業務等の変革、GXは脱炭素に向けた取り組みです。eラーニングであることは、対象外の内容を助成対象へ変える理由にはなりません。
- 対象例は、営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ訓練です。
- 対象外例は、生成AIを使うための汎用的なプロンプト(AIへの指示)の作り方を学ぶ訓練です。
- DXの概念・デジタル技術の概要・データ活用の考え方だけを学ぶ訓練も対象外例です。
- 脱炭素の基本理念や国際情勢、GX化を進める上で企業に必要な対応を学ぶ訓練も対象外例です。
同じ訓練でも、受講者の担当業務によって扱いが異なる例があります。CO2排出量算定の計算手順を学ぶ訓練は、算定業務担当者なら対象例です。人事や営業の担当者を対象とする場合は、対象外例とされています。
職務に結び付けた生成AI研修の例は、生成AI・業務自動化の講座に掲載しています。
eラーニングの申請書類と労働局への確認
令和8年8月3日以降の支給申請では、eラーニング訓練実施結果報告書の様式にも注意が必要です。令和7年4月1日以降に提出した計画届について同報告書を添付する場合は、改正後の様式第8-3号を使います。適用様式は厚生労働省の公式ページで確認してください。
助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。ilandoは企業向け研修の企画・実施、カリキュラム資料の提供、見積りを行います。
助成金の申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務のため、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼します。
よくある質問
eラーニングは勤務時間中でも賃金助成の対象外ですか。
事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースの案内は、eラーニング・通信制を経費助成のみとし、賃金助成を対象外としています。
リスキリング支援コースで長時間受講すると上限は上がりますか。
同コースのeラーニング・通信制の経費助成上限は、令和8年4月8日から時間数にかかわらず中小企業15万円・大企業10万円です。受講者1人1訓練当たりの上限です。
対面研修とeラーニングを組み合わせる場合はどうなりますか。
事業展開等リスキリング支援コースでは、通学制・同時双方向型の通信訓練との組み合わせにもeラーニング等の経費助成上限が適用されます。eラーニングの受講回数制限にも、他の実施方法との組み合わせが含まれます。
年度1回の制限はすべてのコースに共通ですか。
本記事の年度1回は、事業展開等リスキリング支援コースの令和8年8月3日改正によるeラーニングの上限です。他コースはそれぞれの条件を確認します。
定額制サービスは契約者全員が助成対象ですか。
契約人数だけでは決まりません。人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースの定額制では、支給申請時に修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の者が対象です。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について
- 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金「人材育成支援コース」のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース 支給要領」(令和8年8月3日適用・1401・1402)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)