定額制の研修サービスは、人への投資促進コースの「定額制訓練」で助成対象になり得ます。経費助成率は中小企業60%・大企業45%で、賃金助成はありません。契約だけで対象になるわけではなく、受講者ごとの修了状況や申請の要件を確認します。
定額制研修は人への投資促進コースの対象か
定額制訓練は、サブスクリプション型の研修サービスを従業員が利用する訓練です。サブスクリプション型とは、定額でサービスを利用する形式を指します。人への投資促進コースでは、この研修形式を対象とするメニューが設けられています。
人への投資促進コースは、事前に作成した計画に沿う、職務に関連した訓練を支援する制度です。受け放題の契約を結ぶことと、各従業員が支給要件を満たすことは分けて考えます。受講予定の講座と、その講座で学ぶ知識を使う職務を整理しておく必要があります。
- 研修サービスが、申請予定の定額制訓練に該当するかを確認します。
- 対象者の担当業務と、受講する研修内容との関係を確認します。
- 契約期間、カリキュラム、対象者の受講・修了状況を確認できる資料を準備します。
利用できる講座数が多くても、契約者全員をそのまま支給対象労働者として扱うことはできません。支給申請時に、修了した訓練の標準学習時間を受講者ごとに確認します。
定額制訓練と自発的職業能力開発訓練の違いなど、用語の整理は人材開発支援助成金の用語集にあります。
定額制訓練の助成率と1人1か月の限度額
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 60% | 45% |
| 経費助成限度額・受講者1人1か月当たり | 2万円 | 2万円 |
| 賃金助成 | 対象外 | 対象外 |
人への投資促進コースの定額制訓練では、助成率と月単位の限度額を別々に確認します。表の限度額が、契約した全員に自動的に支給されるわけではありません。支給対象者と対象経費を確かめたうえで助成額を確認します。
勤務時間内に定額制研修を受けても、人への投資促進コースの定額制訓練に賃金助成はありません。研修中の賃金まで補助される前提で予算を組まないよう、経費助成と区別します。
令和8年4月8日改正で対象者は10時間以上の修了が必要
標準学習時間とは、訓練について定められた学習時間です。令和8年4月8日の改正では、支給対象労働者ごとの修了した訓練の標準学習時間の要件が、1時間以上から10時間以上へ変更されました。各支給対象労働者の標準学習時間を合計して10時間以上とする、支給対象訓練の要件は廃止されました。
| 確認項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 支給対象労働者 | 支給申請時に、修了した訓練の標準学習時間が1時間以上の者 | 支給申請時に、修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の者 |
| 支給対象訓練の合計時間要件 | 各支給対象労働者が修了した訓練の標準学習時間の合計が10時間以上 | この合計時間要件は廃止 |
確認するのは、申込み済みの講座や視聴途中の講座ではなく、修了した訓練です。契約者一覧だけで判断せず、誰がどの訓練を修了したかを確認します。学習の記録と、教育訓練機関が発行する一覧表の対応も確認が必要です。
年度3回までの受講回数と他コースとの通算
| 対象範囲 | 受講者1人・1年度当たりの上限 |
|---|---|
| 人への投資促進コースの定額制訓練 | 3回まで |
| 人への投資促進コースの自発的職業能力開発訓練 | 3回まで |
| 人への投資促進コースの定額制訓練、同コースの自発的職業能力開発訓練の定額制サービス、事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスの合計 | 合わせて3回まで |
コース名を変えて申請すれば、定額制サービスの回数枠を別々に使えるわけではありません。対象者ごとに、他の定額制訓練も含めた申請・受講状況を確認します。社内で研修を別部署が手配している場合も、同じ労働者の記録を合わせて整理します。
受け放題のサービスに含まれる個々の講座を、助成上の受講回数へどう対応させるかは別の確認です。契約内容や申請単位を示して、管轄の労働局に確認してください。
定額制訓練の提出書類|様式第8-5号と一覧表
| 書類 | 取扱い |
|---|---|
| 定額制サービスによる訓練実施結果報告書・様式第8-5号 | 対象労働者が10人以上なら任意の10人分、10人未満なら全員分を提出 |
| 教育訓練機関が発行する受講時間10時間以上の者の一覧表 | 提出が必要 |
| 対象労働者の修了証・LMS情報の写し | 通常の提出は不要になりましたが、整備・保管が必要 |
様式第8-5号は、提出する人数を絞れる場合でも、他の対象者の記録を不要とする扱いではありません。任意に提出した者以外についても、労働局から書類の提出を求められる場合があります。事業所で整備・保管しておく必要があります。
修了証や学習管理システムの情報も、労働局から提出を求められる場合があります。通常の添付書類から外れたことを理由に、受講の記録を破棄しない運用が必要です。一覧表を受け取る際は、対象者と修了状況を確認します。
定額制研修の計画届は契約期間の初日から逆算
人への投資促進コースでは、計画届を出す前に社内の人材育成体制を整えます。職業能力開発推進者という、職業能力開発を進める担当者を選任します。事業内職業能力開発計画を作成し、労働者に周知します。
| 段階 | 期限・確認事項 |
|---|---|
| 計画提出 | 原則、定額制サービスの契約期間の初日から起算して6か月前から1か月前まで |
| 訓練実施 | 提出した職業訓練実施計画に基づいて実施 |
| 支給申請 | 訓練修了日の翌日から2か月以内 |
| 訓練経費の支払い | 支給申請までに全額を支払う |
計画提出では、職業訓練実施計画届、対象労働者一覧、カリキュラムなどを用意します。支給申請では、事業主が費用を負担したことを確認できる振込通知書なども必要です。契約と支払い、受講の記録を同じ研修計画に対応させて整理します。
定額制研修の契約前に確認する資料と相談先
- カリキュラムから、受講予定者の職務に関連する訓練を確認します。
- 教育訓練機関が発行する一覧表と、修了の記録の提供方法を確認します。
- 対象者ごとの受講履歴から、定額制サービスの通算回数を確認します。
- 契約期間の初日を確認し、計画届の提出日を決めます。
助成の可否を判断するのは、管轄の都道府県労働局です。最新の内容は厚生労働省の公式ページと管轄の労働局で確認してください。
ilandoは、企業向け研修の企画・実施、カリキュラム資料の提供、見積りを行います。申請書類の作成・提出の代行は社会保険労務士の業務のため、ilandoでは行いません。申請は事業主が行うか、社会保険労務士に依頼します。
ilandoの研修は、講座ごとに時間数と内容を決めて実施する形です。講座の内容は講座一覧で確認できます。
よくある質問
定額制研修を契約すれば、全員が助成対象になりますか。
契約だけでは決まりません。人への投資促進コースの定額制訓練では、令和8年4月8日改正後、支給申請時に修了した訓練の標準学習時間が10時間以上の者が対象です。
定額制訓練には賃金助成もありますか。
人への投資促進コースの定額制訓練は経費助成で、賃金助成はありません。通常分の経費助成率は中小企業60%、大企業45%です。
他のコースの定額制研修と回数を分けられますか。
人への投資促進コースの定額制訓練、同コースの自発的職業能力開発訓練の定額制サービス、事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスは、受講者1人につき1年度で合わせて3回までです。
様式第8-5号は全員分を提出しますか。
令和8年4月8日改正では、対象労働者が10人以上の場合は任意の10人分、10人未満の場合は全員分を提出します。提出した者以外の記録も、労働局から求められる場合に備えて整備・保管します。
修了証や学習管理システムの情報は捨ててもよいですか。
通常の提出は不要になりましたが、労働局から提出を求められる場合があります。事業所で整備・保管しておく必要があります。教育訓練機関が発行する受講時間10時間以上の者の一覧表は提出が必要です。
出典
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」
- 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(令和8年4月8日版)
- 人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索。第2条・第27条)